「豆腐田楽」なるものをご存知でしょうか。
(写真)
だいたい1cm²×5cmほどの角柱の豆腐に串を刺して、こだわりの味噌を塗って炙った郷土料理です。
豆腐田楽を郷土料理として、打ち出しているところはいくつかありますが、今回は三重県伊賀市に訪れました。
豆腐田楽と伊賀市
元々、豆腐田楽は伊賀文化のひとつ。
昔は能楽が盛んだったので、その際に庶民の1つの楽しみとして豆腐田楽があったそうです。
今で言う、映画にはポップコーンのようなもの、と考えれば当時の人の感覚も身近に感じられるかもしれない。
伊賀市は昔から三重県内の大豆産地と知られています。伊賀市は伊賀盆地、上野盆地に面しています。盆地特有の寒暖差が大きいという気候が、品質の良い大豆を育むのです。
大豆も多くの品種が存在しますが、この地域ではフクユタカが多く栽培されています。
古いデータですが、2006年のフクユタカの生産量は全国で三重県は4位。大豆づくりが盛んな地域です。
フクユタカは豆腐への加工適性が高いことが特徴。なんと、タンパク質含量が高く、豆腐加工の際に固く固まりやすいのです。
もちろん、伊賀市の豆腐田楽にもこの大豆フクユタカを使った豆腐が多く用いられています。
豆腐田楽、食べてみた
聞くところによれば、豆腐づくりの時には固く固まり、火で炙ることでまた柔らかくなるのだとか。
確かに食べてみると意外と柔らかい!
どれくらい柔らかいかというと、たまに串を持ち上げる時に豆腐が崩れてしまうくらい。
それでも、冷奴などは箸をスっと通しただけで簡単に崩れてしまうので、そもそも串で「持ち上げられる」ことがしっかりした豆腐の部類に入ることが伝わっていると嬉しいです。
お味噌も特徴があるのです。濃いお味噌と合わせて食べることでご飯が進みます。
どうやら伊賀の豆腐田楽と愛知の方の豆腐田楽はテイストが違うそうですね。
実は、伊賀市で2件ほど豆腐田楽のお店を回ってきたのですが、伊賀市の中でも味噌に違いがあります。お気に入りの豆腐田楽屋さんを見つけてみるのもいいかもしれません。
私個人としては、山椒が効いている味噌を塗って炙った豆腐田楽はさっぱり食べることができて美味しかったです。
豆知識とつぶやき
ちなみに、この豆腐田楽を食べに行ったときに、一緒に言った人に話せるような豆知識。豆腐田楽の入った受け皿は江戸の遊楽のスタイルなのです?上品で少し妖艶な感じがありませんか?
時が経っても文化が継承されているのです。
今では、郷土料理として食べられることが増えた豆腐田楽ですが、元々は能楽などある種、お祭りと一緒に楽しむ食べ物。
健康ブームも相まって豆腐も注目されている食材の1つです。今の郷土料理としての路線も残しつつ、夏祭りの屋台にあるフランクフルトみたいに豆腐田楽もカジュアルなものになっても面白いかもしれません。